セローの数少ないウィークポイントのひとつが、柔らかすぎるサスペンション。そもそもセローはジャンプなどのハードなオフ走行は想定していません。足付きをよくするために、ホイールトラベルも前:225mm、後:180mmと短く設定されています。そのため、高速で大きなギャップを通過する際ショックを吸収しきれずに、ハンドルが振られたり底付きしたりすることもあります。短いトラベルのまま、ショックの吸収性能を高めるには、スプリングレートを変えることです。そこで、フロントフォークのスプリングをテクニクス社製のハードスプリングに交換し、リヤショックはユニットごとテクニクス社製のパフォーマンスショックに交換してみました。
変更したパーツはコレ
TGR ハードスプリング SEROW250
型番 | THSFSEROW250 |
適用車種 | SEROW250 (JBK-DG17J) |
価格 | 12,000円(税別) |
まずはメーカーサイトのコピーから。
多様な用途で使用される車両だからこそ、足回りに関しては『あと少し』と要望が多い。そこで、TechnixではYAMAHA SEROW250用FORK SPRINGを開発。
様々なライディングフィールドで実走テストを行い仕様を決定。スプリングレートを純正よりも約10%強化し、本格的なオフロード遊びができ、高速走行も楽しめる足回りに。
Technix の推奨セッティングデータを付属、走るフィールドに合わせてオイル粘度やオイルレベルを調整することで、パフォーマンスは格段に向上します。
12000円で、パフォーマンスが格段に向上するならコスパが高い。今回私は標準をチョイス。メーカー公表値では、スプリングレートは、4.2N/mmとなっています。純正品の値は3.8N/mm。数値では硬さがわかりませんので、まずは交換して確かめるしかないですね。
TGR TEC-1.1 パフォーマンスショック
型番 | T111SEROW250 |
適用車種 | SEROW250 (JBK-DG17J) |
価格 | 57,000円(税別) |
仕様設定 | 体重設定 ~40Kg(バネ:プログレッシブ) 体重設定 40~55Kg(バネ:プログレッシブ) 体重設定 55~70Kg(バネ:プログレッシブ):標準 体重設定 70~85Kg(バネ:プログレッシブ) 体重設定 85~100Kg(バネ:シングル7.8kg/mm) 体重設定 100Kg~(バネ:特注スプリング推奨)+30,000円(税別) 体重設定 100Kg~(バネ:特注スプリング推奨)+30,000円(税別) |
こちらのメーカーの説明は、
簡単な設定変更でストリートからオフロードさらにはトライアルまで、さまざまなステージに対応可能。全てのステージで純正を大きく上回るパフォーマンスを発揮致します。
こちらはちょっと値段が高いので、購入には少し勇気が要ります。でも「全てのステージで純正を大きく上回るパフォーマンス」を期待して、前後交換。これにはちょっと手が出せない、という人には、DRCのリヤショックスプリングのみを交換する方法もあります。
このリヤショックは、注文時に、ライダーの体重に合わせた仕様をオーダーすることができます。ツーリングで重い荷物を積むことが多い場合は、それも考慮して仕様を決めるといいと思います。
ダンピングアジャスターがついていますので、細かなセッティングも可能。メーカー出荷時は、少し柔らかめの設定ですので、これも体重や乗り方で好みにセッティングしてみて下さい。
交換作業。工具があれば問題無し
フロント
フロントフォークのスプリング交換は、フォークオイル交換の手順と同じです。私のセローの場合、交換時のオドメーターは13,000km。オイルはかなり黒ずんでいましたので、もう少し早めの交換がいいと思います。交換後の使用オイルは、純正品の「YAMALUBE G-15」を使用しました。交換オイルの容量は1L。ちなみにテクニクス社では、推奨セッティングを下記のように設定していますので、参考にして下さい。フォークオイル交換と油面の調整には、油面調整ツールとメスシリンダーがあると便利です。
セッティング | オイルレベル | 推奨オイル |
ストリート仕様 | 120mm | 15W |
オフロード仕様 | 130mm | 15W |
トライアル仕様 | 130mm | 10W |
リヤ
リヤショックの交換には、少し手間がかかります。まずショック上部のボルトを外すのに、バッテリーを外してアプローチします。一気に外さず、リンクの各部を緩めてからバラして行きます。アームとタイヤは付けたままで交換可能です。リンクを外したら、ブッシュの摩耗チェックとグリスアップも忘れずに。グリスが切れてさびやすい部分です。
交換プロセスは省きますが、リヤショックの性能を活かすためにも、交換後にはサグ出しを必ず行って下さい。
交換とサグ出しは、こちらのサイトが参考になります。
https://minkara.carview.co.jp/userid/700314/car/1430537/4031903/note.aspx
http://techgarage-s4.cocolog-nifty.com/blog/2016/03/250tgr11-7b5b.html
走行インプレッション
一般道は?
ストップ&ゴーを繰り返す一般道は、サスの動きも大きいので、すぐに違いがわかります。剛性の固まりのようなDR-Z400からセローに乗り換えた当初、ノーマルフォークはブレーキング時のノーズダイブが大きく、腰砕けのようになって恐怖すら感じました。ダイブ後の揺り返しもバネっぽく、ポヨンポヨンのサスに安っぽさと乗りにくさを感じた覚えがありますが、TGR交換後は、柔らかさはキープしつつも適度な収束感・剛性感があり、安っぽさと不安感はなくなりました。安心してフロントブレーキをかけられるようになります。
高速道路は?
スピードを出して真っすぐ走る分には、あまり違いは感じられませんが、大きなRのコーナーで、アクセルを開けて加速するような場合や、高速度でのレーンチェンジでは、フロントがしっかりしている分、安定感が違います。ツーリングなどで荷物が多い場合、違いは特に顕著です。
オフロードは?
オフロードは、リヤショック交換の恩恵が大きいです。オフ走行ではフロントは浮かし気味でリヤ荷重で走行することが多く、ギャップや段差で小さくジャンプすることも多々あります。ノーマルサスの場合だと「ガシャッ」と車体にかなり大きなショックが伝わってくるところでも、TRGサスだとフワッと通過するので「こんな路面だったっけ?」と感じながら走ってました。リヤの180mmの短いホイールトラベルを、有効に活用できているイメージです。“車高が低い=サスの性能が低い”の公式を覆すフィーリングです。リヤサスは価格は高いですが、オフロード走行でサスに不満を感じる人なら、交換して決して損はないです。TGRのリヤサスは、足付きのいいセローの利点を活かす、ベストな選択かも知れません。
メリットとデメリット
メリット
- 安っぽい印象のサスが、1ランクアップした剛性感ある乗り味に変る。
- 街乗りでのブレーキングで安定感アップ。
- オフでは安心してギャップも通過できる。
- Technixのステッカーチューンは本物の証!
- リヤサスのダンピングアジャスターは、荷物の重さや好みでセッティングが簡単に変更可能。
デメリット
- リヤショックはノーマルよりもずっしり重い。ただし重心は低いので、走っている分には違いは感じない。
- リヤショック 6万円越えは、やはり高価で敷居は高い。ノーマルにかなり不満を感じる人以外は、1/6価格のDRCでもいいかも。
トリッカーでジャックナイフして後輪着地時のリアサスの印象違い
トリッカー純正=「ガヅっ!!」
セロー250純正=「ガシャン!」
テクニクスTGR=「スチャッ。」
この差は大きい・・・(-.-)#テクニクスTGR #トリッカー pic.twitter.com/NhbuFpG8NL
— とても珍しいクォー!イチ (@kwoh1) July 19, 2019
セローの持病の高速走行時のブレもなくなった( ˊᵕˋ )
TGRいい!— えすぷろ。 (@_S_PRO) May 27, 2016
この方は追加で #テクニクス ( #technix )さんの TGR TEC-1.1 peformance shock を選択。同社のハードスプリングと合わせて使用する事でハードなコース走行から超積載のツーリングまで幅広く安定した性能を発揮します。
ブログ|https://t.co/nvTSsGbGxY#セロー#納車整備
— YSP川口 (@YSP_kawaguchi) April 17, 2018
まとめ
前後合わせると、約8万円のカスタム。セローのカスタムの中では優先順位は決して高くはないですが、いつも気になっていた部分ではありました。でも交換するとこんなに違うのか、って感じる程ハンドリングが落ち着きますし、今までよりも格段に乗っていて楽いです。「サスには不満があるけど、敷居が高くて手を入れていない」というセローライダーはたくさんいると思いますが、実は、エキパイ・マフラーよりも優先して交換して欲しいくらいのおすすめカスタムです。まずは安価なフロントスプリングからでも、交換してみてはいかがでしょうか。
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【セロー250 カスタム】カスタム箇所とパーツの紹介
現行型のセロー250はモデルの歴史が長いので、カスタムパーツも数多く出回っています。今回は私のセローに施したカスタム箇所とパーツを紹介します。
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セロー・カスタム情報