セロー250の馬力は18馬力と公表されています。
250にしては少ない馬力ですが、乗ってみた感想は、70kmまでの範囲ではかなり馬力があるなという印象です。
街乗りでは力強く発進しますし、回転を上げることなくトルクでどんどん速度を上げることができます。
これは少ない馬力を活かすギヤ比の絶妙なバランスのおかけだと思います。
一方でロングツーリングの場合はどうしても高速道路を使用する場合がありますが、その時に気になるのが高回転での力の無さです。
追越車線で追い越す場合、もうちょっと伸びがあれば…という場面も少なくありませんし、唸り続けるエンジンに不快と不安を覚えることもしばしばです。
セローには同じ車体の兄弟に、トリッカーとXT250Xがありますが、それぞれリヤのスプロケットが共通で使用できます。
トリッカーは45T、XT250Xは46Tですので、セローの48Tをこのパーツに変更すると、どのような走行フィールになるのか気になってはいました。
そこで今回、安価にXT250Xのリヤスプロケット(46T)が入手できましたので、試しに装着してフィーリングの違いを調べてみました。
48Tと46T、走行フィールの違いについて
全体にトルクが薄くなった感じ
まず、走行して最初に感じた印象をざっと書き出してみます。
- 5速ギヤが6速ギヤになった感じ
〜最後にもう1速あったらな…の1速が追加された印象 - 常に1段高いギヤで走ってる感覚
〜極端にいうと、常に高いギヤでノッキング手前で走り続けている感じ。 - カーブの立ち上がりはギヤを落とす必要あり
〜今まではカーブで減速してもアクセルがついてきていたが、46Tでは1速落として加速する必要あり - 発進は1速から繋いだ方が速い。2速発進ではトルク不足
〜常に回して高回転でトルク不足を補って走る - 加速が悪くなった印象
〜今までより出だしの加速感が悪くなった感じがする。半クラの時間が伸びたせい? - 2速3速の伸びはいいが、4速ではトルク不足を感じる
〜ギヤをあげて回転が落ちると、トルク不足をダイレクトに感じる。
…と、思った印象を書き出してみたところ、ほとんどがあまりいい印象ではないですね。
ただし上記のフィーリングは、高速道路は含んでいません。
60kmまでの一般道と林道を含む印象です。
また上記の印象は、SP忠男のフルエキに変更して、低速がトルクアップした状態でのインプレですので、ノーマルだと印象は変わってくるかもしれません。
46Tに変更したいと考える多くの人は、高速走行におけるエンジン回転数へのストレスや振動への不満ではないでしょうか。
今回はその部分以外での印象ですので、46Tのメリットが大きい高速でのインプレは、改めて後日行いたいと思います。
2速〜3速の伸びは良くなる
46Tにしての顕著な変化は、まず1速発進がスムーズになります。
今までは1速発進ではすぐに頭打ちになるため、2速で発進する方がスムーズでしたが、46Tでは逆に2速発進すると半クラの時間が長くなり、返って加速がもたつくことになります。
46Tだと1速発進でも、ある程度伸びるようになりますので、1速で回転を上げ切ってから高回転で2速〜3速に繋げていくと、スムーズに加速できる印象です。
回転を落とさない走行が求められる
「常に高いギヤで走っている印象」と書きましたが、カーブで減速して回転数が落ちるような場面では、48Tと同じようにアクセルをひねっても回復しません。
そこでギヤを落として回転数を戻すか、半クラを使うことになります。
ルーズな走行でも受け入れてくれるセロー250ですが、46Tでは許容範囲の狭いピーキーな性格に変化します。
ネットではフロントのスプロケットを16Tに変更する方法も多くみられますが、その場合のギヤ比は3.0ですから、リヤのスプロケットを45Tにした場合と同じ。
つまりもっと扱いにくくなる可能性がありますね。
低速での粘り強い、セロー独自のドライブフィールからはかなり変化しますので、交換の際は注意してください。
燃費はどうなる?
ワインディングを含む一般道と若干の林道を226.7km走行しての燃料消費は、5.1Lでした。
1Lあたり約44.5kmの計算になります。
ちなみに今までの48Tでの燃費は、同じような条件では40〜43km/Lなので、ほぼ変わらないか、若干良くなっているかも知れません。
意外だったのは、薄くなったトルク感を補うために回転は上げぎみになるのですが、それでもこのような高燃費になったことです。
高速道路の走行では燃費は少し落ちますので、また詳細に計測していきたいと思います。
46Tの高速走行インプレッションはこちら
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【セロー250】46Tのリヤスプロケットで林道と高速道路を走行してみた〜インプレ&燃費
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46Tへの変更にあたって(注意点)
チェーンはそのまま使えます
標準のコマ数は128ですが、スプロケット径が大きくなってもそのままポン付けできます。
コマ数を落とす必要はありません。
ただしアジャスターの位置が大きく変わりますので、伸びたチェーンの場合は注意してください。
メーター誤差が少なくなる
48Tでのメーター誤差は10%ほどありました(メーター読み100kmの場合、実測は約60km)が、46Tになると、その誤差は少なくなります。
きちんと計測していませんが、メーターと実測はほぼ一致しているのではないでしょうか。
まとめ 〜長所を短所に割り振ると全てが中途半端になる
48Tがベストバランス
46Tを使ってみた率直な感想は、70キロまでの常用域において、純正の48Tがベストなバランスであることを認識し直しました。
18馬力の非力な力を有効に使うにはギヤ比がとても重要ですが、セローの性格を考えた場合、回して乗るバイクではないし、回して楽しいエンジンでもありません。
低速でトコトコのんびりと走る場合や、林道での低速走行時に瞬発力が求められる場合があります。
そのような使い方では、15T×46Tではエンジンのトルクを有効に活かすことができないように思います。
XT250Tは街乗りでもある程度スピードに乗った走り方を前提にしたセッティングだと思いますし、タイヤの径も違います。
通常どのような速度域を常用しているか、どんな乗り方が一番向いているかを想定すると、DR-Z400からセロー250に乗り換えた私の場合は、やはり48Tがベストだと感じます。
ロングツーリングで46Tを使うか?
では高速を使ったロングツーリングでは46Tはありか?
というと、それも微妙です。
確かにエンジン回転数を抑えることができるので、移動時における高速走行時のストレスは若干減りますが、その分アクセルを開けることができるの、今度は速度を求めてしまいますし、何より走行時間がずっと長い一般道でのフィーリングに不満を持ったままでは本末転倒な気がします。
セローの良さは、常用域にあります。
オフロードタイヤで我慢して高速を走るのも、カウルのないバイクで高速を走るのも、旅先での満足感をMAXにしたいからです。
旅先でセローの走りを楽しみたいと考えると、私なら46Tのまま行くのはもったいないと感じました。
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